この度は当社WEB版株主通信 GMO AD PARTNERS PRESSをご覧いただきありがとうございます。
今回は、「Chat GPT」をはじめとする生成AI活用に関するインタビューと当社の働きやすい組織づくりのための
取り組みについてご案内いたします。

TOP MESSAGEご挨拶

株主の皆様におかれましては日ごろより多大なるご高配を賜り、誠にありがとうございます。
技術革新は日々進化し続けており、2023年に入り、ChatGPTといった生成AIの普及が一気に進んでいます。
当社を取り巻く事業環境も変わってきており、マーケティング活動のデジタルシフトや効率化が加速しています。当社はこの変化をチャンスと捉え、積極的にAIを活用し、様々な自社サービスにAIを搭載した機能を導入しています。業務効率化にもAIを活用することで、お客様により質の高いサービスを提供することができると考えております。

株主の皆様におかれましては、変わらぬご理解とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

代表取締役社長橋口 誠

INTERVIEW生成AI活用に関するインタビュー

「ChatGPT」をはじめとする生成AI活用の取り組みと成果について

GMOアドパートナーズでは、業務効率化や自社サービスの品質向上のために、「ChatGPT」をはじめとする生成AIを活用しています。
その方針と具体的な取り組み、成果について執行役員とシニアマネージャーがお伝えします。

金子 潤平

  • GMOインサイト株式会社 コンシューマーサービス開発部
    シニアマネージャー
  • 開発責任者としてエンジニアのマネジメントを担当

竹中 正人

  • GMO NIKKO株式会社
    執行役員 事業推進本部 本部長
  • 開発、データ分析、AI活用、採用など全社横断で事業成長を推進

星野 正樹

  • GMOアドマーケティング株式会社
    執行役員 開発本部 副本部長
  • 開発責任者としてアドテクプロダクト全般を担当
Q1
GMOインターネットグループ、GMOアドパートナーズとしての「ChatGPT」の活用方針、取り組みについて教えてください。

スピード感を持ってサービスの品質向上につとめています

GMOインターネットグループでは、最新のAI技術をいち早くキャッチアップして業務効率を加速するため、2023年4月よりすべてのパートナー(注:GMOインターネットグループでは従業員のことを敬意を込めてこう呼びます)を対象とする「AI(愛しあおうぜ!~ChatGPT業務活用コンテスト」をスタートしました。これは全パートナーが持つ経験、ノウハウ、知見を駆使して業務効率化や既存サービスの品質向上と新規事業の創出につなげパートナー全員のAI技術の活用力を高めることに主眼を置いたコンテストです。その一方でAI最新情報のキャッチアップや実務活用例に役立つグループ内セミナーも定期的に開催しています。また、5月にはWEBメディアの運営会社を対象とするイベント「ChatGPTの出現で何が変わる?メディアと考えるAI活用戦略」を開催。

AI時代の悩みと課題、今後のこれらの背景にあるのは、強い危機感です。期待感はもちろんありますが、毎日のように発表される新たな機能や技術への対応スピードを高めることを全員が意識して行動しなければ、盤石を誇ってきたグループの基盤も揺るぎかねない。そのくらいの危機感で取り組んでいます。

Q2
「ChatGPT」をはじめとする生成AIの注目度が高まっています。GMOインターネットグループにはどのような影響や効果をもたらしていますか?

マーケティング、クリエイティブ、プログラミング
いずれも業務効率がアップしています

竹中

GMO NIKKOの軸であるマーケティングの戦略・戦術設計のワークフローが変わりました。これまでは情報を集めてPEST分析(※1)、5フォース分析(※2)、SWOT分析(※3)などのフレームワークも用いて、ゼロから戦略・戦術を検討していましたが、今は違います。該当する商品やターゲットの属性を「ChatGPT」に与えると一瞬で答えが出ます。もちろん、それで完成するわけではありませんが、業務効率が格段に上がって考える時間が増えたので、お客様に対してより質の高いマーケティングサービスを提供できるようになりましたね。

星野

主にアドテクノロジーの商材を開発し媒体や広告主にマーケティングサービスを提供するGMOアドマーケティングは、グループ内でもいち早くAIの知見を蓄えてきたので「ChatGPT」の導入はスムーズでした。最大の変化は、クリエイティブ領域のコストと時間を圧縮することによって、これまで満足度を高めることが困難だった広告主の方にも中身の濃いサービスを提供できるようになったこと。すでに効果の検証、改善、提案ができる体制も整えており、売上も伸びています。

金子

ライフスタイルメディア「michill byGMO」を運営するGMOインサイトでは、1年ほど前からプログラミングに特化した生成AIツール「GitHub Copilot」(ギットハブ コパイロット)を活用しています。これはMicrosoft社が提供するコード補完ツールで、エンジニアがコードを書き始めるか、コードで何をしたいかをコメントすればAIが開発コードを提案する仕組みです。プログラミングについてはすでに業務効率が50%以上も改善できており、グループ内でも注目度が高まっています。
  • (※1)外部環境を政治、経済、社会、技術の4つの要因に分類し、自社に与える影響を読み解く分析手法。
  • (※2)外部環境を5つの競争要因に分けて分析する手法。自社にとっての脅威やチャンスを把握するときに役立つ。
  • (※3)マーケティング戦略立案において、初期段階の環境分析に使われることの多いビジネスフレームワーク。
Q3
GMO NIKKOではAI活用プロジェクトをスタートさせましたが、どのような取り組みか教えてください。

「社外向け」「社内向け」「研究開発」を柱に
AIの活用方法を検討し、実現するプロジェクト

本プロジェクトは、GMOインターネットグループが「スピリットベンチャー宣言」のなかで掲げている目標の一つ「作業を仕事へ」に基づくもので、AI活用の推進と、AIという手段を持った人の価値を創造することを目的として立ち上げました。 具体的には、本部から選抜したリーダーが中心となって、各セクションのAIで効率化できる業務やサービスをピックアップして置き換える方法を検討し、実現していくという取り組みです。柱は『社外向け』『社内向け』『研究開発』の3つです。 『社外向け』は「TRUE Affiliate byGMO」「TRUE Connect byGMO」をはじめとする自社サービスへのAI導入がテーマで、すでに試験的な導入を開始しています。『社内向け』はクリエイティブやマーケティング戦略の部分になります。

「手を動かすのではなく頭を動かそう」を合言葉にAIへの転換を推進しています。その一つに「ChatGPT」を搭載した検索連動型広告テキスト作成ツールがあり、テスト配信では従来の広告テキストの2.3倍のクリック率を記録しています。 最大の収穫は、パートナーの意識と行動が変わったことです。以前は生成AIに対する期待と危機感だけが先行していましたが、現在はすべてのパートナーが主体的に最新の情報をキャッチアップしてAIを使いこなそうとしています。

Q4
GMOアドマーケティングでは「ChatGPT」の活用により、クリエイティブの作成時間が3分の1に短縮されたとのこと。
具体的にはどのような業務でしょう?

ツール化によってニュースサイト「Good!Apps byGMO」の
記事作成業務を効率化

アプリの最新情報を紹介するニュースサイト「Good!Apps byGMO」の記事作成に関連する業務です。以前は著作権フリー画像の検索・抽出から記事作成まですべて人が行っていましたが、今は10工程のうちの6工程で「ChatGPT」をはじめとする生成AIを駆使しています。
たとえば記事であれば「〇〇アプリの特徴と強みを紹介する記事を作成してほしい」とプロンプトで指示すれば、瞬時に文章を作成してくれます。「ユーザーはどのようなアプリに期待しているか?」という問いにもすぐに回答してくれるので、それをベースにテンプレートをつくり、みんなで利用できるように、ツール化をしました。そうすることで、これまで2時間かかっていた仕事が30~40分で完了できるようになりました。

使い始めた当初は期待外れの回答が返ってくることも少なくなかったですが、プロンプトの最適化を図り、調整を重ねていますので精度は着実に上がっていますね。「ChatGPT」自体の性能もまだまだ向上していくので、今後はお客様とのコミュニケーションや分析・検証といったより本質的な業務に多くの時間を使えるようになると考えています。

Q5
GMOインサイトの「michill AIコンシェルジュ(β版)」の開発経緯について教えてください。

1,000万人のユーザーが求めている情報を
リアルタイムで提供する機能をスピード重視で開発しました

「michill AIコンシェルジュ(β版)」は、ユーザーが疑問や知りたいことをチャットボットで質問するとAIが「michill byGMO」のコンテンツをもとに情報提供やアドバイスを行う『コンシェルジュ』のようなサービスです。「michill byGMO」をご利用いただいているたくさんのユーザー様が求めている情報を、リアルタイムで提供するために開発しました。
開発過程で重視したのはスピードです。さきほど竹中からも話がありましたが、ChatGPT導入の背景に強い危機感があり、すぐに実装してキャッチアップしなくてはならない、と思っていました。GMOインサイトのパートナーは、新しいサービスや機能を短期間で開発して試すことに長けており、「michill AIコンシェルジュ(β版)」においても企画がスタートした金曜の夕方には、「ChatGPT」をバックエンドで利用するチャットボットサービスを組み合わせて形をつくり、週明けにはデザインを「michill byGMO」の開発環境に組み込んでいました。エンジニアとデザイナーは大変だったと思いますが、おかげで調整に時間をかけることができました。今後は様々なデータを分析して潜在ニーズを探っていきます。

Q6
プライベートも含め、個人的には「ChatGPT」をどう役立てていますか?

情報の整理や新たな開発言語でのプログラミング学習に活用しています

星野

文章の作成がそれほど得意ではないので、お客様にご説明するときの文章などはテンプレート化したプロンプトを使って「ChatGPT」でつくります。プログラミングでも活用しています。「ChatGPT」だと質問の回答に対してさらに質問を重ね、会話をしている感覚でプログラムができるので、知見がないプログラミング言語でも気軽に使うことができますね。

金子

私もプログラミング学習ですね。新しい開発言語の習得に取り組むときに活用しています。キーワードや条件を絞り込んで質問すれば精度の高い答えを返してくれるし、見たことのない略語の意味も瞬時に教えてくれるので学習スピードが格段に上がりました。プライベートでは旅行プランの作成を試しています。廃業している旅館が出てきたり、飲食店の名称が出てこなかったり、現状では満足できる内容ではありませんが、「ChatGPT」の言語モデルはさらに進化していくでしょう。旅行プランが一瞬でできる時代は、すぐそこまで来ていると思いながら利用しています。

竹中

私は自分の考えや情報を整理して、パートナーとのコミュニケーションをスムーズにするために使っています。
現在、執行役員として、GMO NIKKO全社を横断して事業成長を推進する役割を担っており、ChatGPTの活用もそうですが、事業戦略から、人財戦略、開発戦略など、様々な分野で、様々な職種のパートナーとコミュニケーションをしていく必要があります。
たとえば、エンジニアにアイデアを伝える際に、「ChatGPT」に私のイメージを要件定義書のようにまとめてもらったり、人財育成の課題について、一般的な思考プロセスや考えるべきポイントのアイデア出しをしてもらった上で議論したり、自分の考えがすっきりまとまりますし、パートナーにもより伝わりやすくなったと感じています。
ここに、それぞれの分野の知見を持ったパートナーとのリアルなコミュニケーションが積み重なることで、様々な場面で仕事がよりスムーズに、より速いスピードで進められるようになったと思います。

異なったバックグラウンドを持つパートナー全員が、
気持ちよく・いきいきと働くことのできる組織を目指して

Q1
本日はよろしくお願い致します。まず、GMOアドパートナーズの組織の特徴や、これまでの取り組みについて教えていただけますでしょうか?

制度・価値観の異なる複数の会社が存在し、
共通の社内制度策定や、文化の融合を図ってきました

もともとGMOアドパートナーズは、連結主要4社から構成される企業集団で、インターネット広告事業やインターネットメディア事業など、背景や考え方の違う多様な組織で構成されていました。こうした背景から、各社の強みや個性を活かしながら、同じ方向を向けるようになっていくこと、また、同じグループであるメリットを活かしてより効率的な企業経営ができるような制度を模索していました。

そのために、まず共通CI(コーポレート・アイデンティティ)「ともにつくろう」を策定し、個々の価値観を活かしながら一つのものを一緒に作っていこう、という価値観を社内に浸透させています。制度面では、評価の物差しを統一したり、類似制度を一つにするなど、より効率的な企業経営が可能になるよう、人事制度の統合を行いました。

Q2
人的資本経営に関する指標の開示が義務化されるなど、人事領域における取り組みに注目が集まっていますが、GMOアドパートナーズで行っている取り組みにはどのようなものがありますか?

ピアボーナスを活用して、
ポジティブなフィードバック文化の醸成を図っています

先程もお話しした、多様な価値観を活かしながら同じ方向を、という観点から、グループとしての連帯感を高め、シナジーを生みやすく、パートナー(従業員)が気持ちよく働ける組織風土を育む施策を行うことが重要であると考えています。その一つとして最近行った取り組みとしては、ピアボーナスと言われる参加型プラットフォーム『Unipos』を導入しています。これはパートナー同士が感謝・称賛をポイントとともに互いに贈り合うことのできるものです。たとえばグループ内やチームメンバーの誰かが素晴らしい仕事をしたとき、協力してもらったときなど、従来のコミュニケーションでは、口頭でお礼をする、社内のチャットやメールなどでメッセージを送る、という形になるかと思います。ピアボーナスのシステムを使うことで、こうしたちょっとした感謝・称賛の気持ちを、ポイントとあわせて贈ることができます。多くのパートナーが利用しており、他のUnipos導入企業の平均値と比較しても、活発な利用がされていると聞いています。

※人・組織に関する考え方やUnipos導入の経緯などの詳細を橋口がお話しするインタビューがこちらに掲載されておりますので、ぜひ御覧ください。(外部サイト)
https://unite.unipos.co.jp/944/

Q3
感謝の気持ちを形にできるのは、贈る側・貰う側どちらにとっても嬉しいですね。企業の開示における取り組みとしては、女性管理職比率など、女性の活躍もキーワードになってくると思いますが、そういった取り組みではどのようなものがあるのでしょうか?

働きやすい組織づくりに向けた取り組み

女性パートナーが働きやすい環境である、というのは女性活躍に向けて当然重要なのですが、昨今では男性も育児に参加するなど、男女問わず働きやすい環境であることが社会全体の女性の社会復帰にとって非常に重要であると考えています。そこで当社では、男性パートナーの育休取得の推進や産育休からの復帰の支援など、パートナーの働きやすい環境づくりを積極的に行っています。

2022年10月、これまでつくられてきた制度をアップデートして、より働きやすい環境をつくるため「ユニバーサルワークプロジェクト」を発足しました。 このプロジェクトの目的は、ダイバーシティ&インクルージョン(Diversity & Inclusion)を推進し、パートナー一人ひとりが力を最大限発揮できるようにすることです。

プロジェクトメンバーは、様々な部署に所属するパートナーで構成されており、抱えている課題や解決策を話し合いました。
中でも、産育休から復職するパートナーが管理職になりたいと思える環境が整っていないことや、時短勤務者が育児と業務を両立しにくいことが課題として挙がり、その結果、新しい制度を導入することになりました。

一つは、「一時抜け制度」の導入です。育児や介護で一時的に業務から抜ける場合に利用でき、再び業務を行った場合は、勤務時間として加算されます。たとえば、子どもの病気などで急に保育園から呼び出された場合でも、子どもを寝かしつけた後に業務を再開できるようになります。有休を取ることなく、急な事態に対応し、また業務に戻ってもらうこともできるという制度です。もちろん利用は任意なので、有休を取って看病などに専念しても全く問題ありません。

他には、勤務時間を月単位で変更できる制度も導入しました。これまでは、勤務体系を時短勤務からフルタイムにした場合、再度時短勤務に戻すことができませんでしたが、新しい制度ではフルタイムと時短勤務が月単位で切り替えができます。この制度の導入によって、「フルタイムで働きたいけど、もしかしたら継続的には難しいかもしれない」と不安を持っているパートナーが、家庭の状況に応じ柔軟な勤務時間を選択しながらも、業務のパフォーマンスも最大限に発揮してくれると期待しています。

こうした取り組みを通じて、パートナーの多様な価値観を尊重し、ダイバーシティを推進し、より良い組織づくりを目指しています。

Q4
今後に向けた取り組みや、行っていきたい施策、目標などあればお聞かせください。

高度人財の採用を積極的に行い、組織力を強化していく

すでに進めている取り組みではあるのですが、高度人財の採用と、よりパフォーマンスを上げられる組織づくりを進めていきたいと考えています。最近では、大手企業の新卒初任給引き上げなど、優秀な人財は採用活動において取り合いになっています。こうした環境下でより強い組織をつくっていくために、新卒の初年度年収を710万円として、起業経験や資格保有者、サービス開発経験者など、今後の当社にとって欠かせない人財となるであろう学生の方を積極的に採用していく方針です。

他には、ダイバーシティの推進という観点では中途採用者の登用も重要となります。今後管理職を担って頂けるであろう優秀なポテンシャルを持った方を積極的に採用し、こうした優秀なパートナーの方がAIを活用し思い切り働けるよう、人事制度・給与制度をパフォーマンス重視のものに見直していく、といった取り組みも行っています。

働いている方のパフォーマンスが会社の業績に強く繋がっていく、という思いを持って、今後もよりよい制度・環境づくりを続けていきたいと思います。

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